扁桃腺肥大

・扁桃腺とはどのような器官ですか?

 扁桃腺とは口の奥、喉の入り口にある組織で医学的には「扁桃」と言います。

 扁桃は鼻や口から病原菌が侵入することを防ぐ役割をしています。扁桃は出生後から徐々に大きくなりはじめ、4から6歳ごろに最大になります。

 その後は自然に小さくなり、通常は思春期ごろまでにその役割を終えます。

 

・子供の扁桃腺が腫れています。どのような病気でしょうか?

 多くの場合、細菌感染による扁桃炎が考えられます。

 扁桃腺の中に住み着いてしまった細菌が、体力の消耗などによって免疫力が低下したときに活動を開始して、痛みや発熱を引き起こします。

 まれに悪性リンパ腫などの悪性疾患によって引き起こされる場合もありますので注意が必要です。

 

・子供の扁桃腺が白くなっています。どのような病気でしょうか?

 多くの場合、細菌の感染による扁桃腺炎です。

 また伝染性単核球症(でんせんせいたんかくきゅうしょう)という、ウィルスによってひきおこされる扁桃腺炎もあります。

 稀ではありますが、悪性リンパ腫などの悪性疾患によって扁桃腺が白く腫れることもあります。

 

・扁桃腺の腫れとそれに伴う発熱を繰り返しています。治療によってよくなりますか?

 多くの場合適切な服薬と安静、水分の補給などによって症状は改善します。

 治療で使用する薬は急性炎症の場合は抗生物質が中心となります。

 くり返す場合には扁桃摘出術という手術を行うこともあります。

 

・学校検診で「扁桃肥大」と言われました。子供のうちに手術した方が良いでしょうか?

  手術が必要となる理由は大きく分けて次の3つが上げられます。

 

①炎症によって喉の痛みや発熱を繰り返す場合 

 年に4〜5回以上、高熱や喉の痛みを繰り返す場合には手術手術を検討します。

 

②大きさによって呼吸や食事に支障をきたす場合 

 睡眠中のいびき、無呼吸、食事がおそい、偏食が多いと言った症状が見られます。

 子供の場合、睡眠時無呼吸は昼間のねむけのみならず、集中力の低下、イライラ、低身長や夜尿の原因になることもあります。

 また、扁桃腺の大きさのために飲み込みが困難になると、食事が遅くなったり偏食の原因になることもあります。

 このように成長と発達に影響を与えるために、手術を検討します。

 

③扁桃の炎症が原因で他の部位に疾患を生じる場合

 扁桃病巣感染症といって、掌や足の裏の皮がむけたり、腎障害を生じる場合があります。

 治療のために手術を検討します。

 

 

 扁桃は出生後から徐々に大きくなりはじめ、4〜6歳ごろに最大になります。

 その後は自然に小さくなり、通常は思春期ごろまでにその役割を終えます。

 しかし、20歳を過ぎても扁桃炎を繰り返すこともあります。

 手術をする場合は、通常1週間程度の入院が必要になります。

 青年期以降の手術は仕事や学校生活に支障を来す可能性もありますので、必要があれば小児期に手術を受けることを検討することをお勧めします。